これが二刀流か。80年代の名作カメラ キヤノン Autoboy TELE6 レビュー

杉本優也
これが二刀流か。80年代の名作カメラ キヤノン Autoboy TELE6 レビュー

はじめに

こんにちは。杉本です。
今月もフィルムカメラのレビューです。

今回はCanonのカメラAutoboy TELE6です。オートボーイというのはCanonが販売していたフィルムカメラのシリーズの名称です。TELE6はテレシックスでいいと思います。テレロクは多分ないですよね。このオートボーイには様々な種類があります。全部で何種類あるんだろうというくらいいっぱいカメラがあって楽しいのですが、今回はその中でも変わった特性を持つこのカメラをレビューしていきます。

発売は1988年

発売はなんと1988年。たまたまですが、僕はこのカメラと同い年です。
冒頭から大余談ですが、僕は元々趣味で古いデニムやアクセサリーなどを収集していたりします。80年代のものというのは古いものの中では比較的新しい方に分類される傾向がありまして、全身80年代のものを纏って歩いている時がありますがついにカメラまでという感じですね。なんとなく80年代や90年代初頭のものというのはテンションが上がります。余談の上に余談を重ねますが、80年代半ばから90年代後期までのものはギリギリ安価に買えるものがまだまだいっぱいあります。このカメラも例に漏れずまだまだ安価な部類に含まれると思います。

Canonはデータアーカイブが充実している

こちらはなんと製品説明書です。公式がHP上に残してくれていますので古いカメラながら出先でも使い方を簡単に調べることが可能です。
一応貼っておくので興味のある方はぜひ。
https://canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Website/support/manual/filmcamera-ls/abtele6.pdf

製品詳細はこちら。
https://global.canon/ja/c-museum/product/film124.html

以前のレビュー記事内で書いた歴史観等の情報はこちら

こちらは以前書かせていただいたCanon AL-1のレビュー記事ですが、記事冒頭にカメラ情報や歴史を確認できる公式のリンクが貼ってあります。

細かいことや経緯に興味のある方はぜひこちらも読んでみてください。
日本はものづくりにおいて、その魂とこだわりで世界を席巻してきた国だと思っています。こういった歴史や資料が残っていることは大変にありがたいことだと思っています。

毎回断っていますが、説明書やこのカメラの歴史、成り立ちを細かく書いていくとそれだけでとんでもない字数になってしまうのでその辺りは上記で確認してください。

基本性能

大きさは133mm×72mm×50mm、重量は330g(電池含む)です。
割とコンパクトな方に含まれると思いますが、昨今の本当に小さいポケットに入るようなカメラよりは大きいです。
レンズは35mm F3.5(3群3枚構成)、60mm F5.6(6群6枚構成)の二通りです。

ここが少し変わっているところですね。レンズが2パターン選べます。

左が望遠側、右が広角側です。(多分そのはずです)

さて、カメラに詳しい人はもうお気づきかもしれません。このカメラはハーフカメラです。

ハーフカメラとは

フィルムカメラに詳しい方には今更な情報ですが、通常35mmフィルムではフィルムごとに24枚撮りや36枚撮りなど撮影枚数が決まっています。設定された枚数を撮り切ればフィルムを巻き上げて現像という流れですね。
ハーフカメラというのはこのワンカット分のフィルム幅を半分にして使うものです。具体的な定義がこれであっているかというと少し怪しいですが、ものすごく単純にいうと〇〇枚撮りと書いてある「倍の数」を撮ることができます。

今回僕は36枚撮りを使用したので倍で72枚の写真を撮ることができました。
なので一枚のフィルムの中に2枚の写真が並んでいます。

ちなみにこれはカメラを縦にして撮影しているわけではありません。横長のフィルムを半分ずつ縦に使用しています。つまり横向きに構えると縦に撮影されます。横にしたい時にはカメラを縦に構えます。

カメラを縦に構えるとこうなります。

※ハーフカメラは例えばカメラのキタムラでは一枚ずつの現像と、このように2枚セットを一枚のように現像するのを選ぶことができます。
現像するお店によってデフォルトがどっちなのか違ったりするので現像前にお店のHP等々で確認してください。
僕はこの2枚の組み合わせが楽しいので基本的にはセットで現像しています。

何が二刀流か

タイトルに二刀流と書いたのには理由があります。冒頭の説明書を読んでいただくとわかるのですが、なんとこのカメラはフィルム装填時に「ハーフカメラとして使うか普通のカメラとして使うかを選ぶことができます」。
何をいっているんだと思われそうなんですが、本当に細かい話はぜひ説明書を読んでみてください。

ざっくり書いておきます。
このカメラではフルサイズで使用すると35mmと60mmの2パターンが選べます。
ハーフカメラモードで使用すると50mmと85mmが使用できます。

フルサイズモードでは例えば36枚撮りのフィルムなら文字通り36枚撮影可能です。ハーフカメラモードでは倍の72枚撮影可能です。非常にややこしい印象がありますが、慣れですね。最初だけです。

扱いは超簡単

オートボーイの名は伊達ではありません。
このカメラはDXマーク付きのフィルムを装填すると(箱やフィルムにDXって書いてあればOKです)自動でフィルムの感度(いわゆるISO感度)を読み取ってくれます。またフィルムの巻き上げも自動で行ってくれます。撮影完了後には巻き上げも自動で行ってくれます。ピントを合わせるのにもオートフォーカスが搭載されています。まさしくオートボーイです。フィルム初心者に超おすすめながら、慣れてきたらハーフとして使うかフルサイズとして使うかを選択できて、しかも広角と望遠を切り替えられるという豊富な使い道で飽きることなく付き合い続けることが可能です。

弱点はあるか

現代のカメラと違ってこの時代のカメラには弱点があるものも多いです。
一つがフォーカスポイントの少なさです。
基本的に画面中央でピントを合わせます。でも例えば、友達が二人いて画面の左右に配置したいとなったらピントを合わせる時に困ってしまいます。そういったケースではフォーカスロックという機能を使ってピントを固定してから構図を作ります。とはいえ、これはいわゆる半押しでできるので一回理解すれば難しくないと思います。

マニアックな話

この話は初心者の方や興味のない方はスルーしてください。説明が難しく、実際少しややこしい話です。

こちらをご覧ください。

左下の写真は気にしないでください。

上と下の写真で空の濃さが違いますね。
上の写真は真ん中の人物にピントを合わせています。この人物が適正露出になるようにカメラが露出を決めた結果、空は少し明るく写り、空の色が薄くなっています。

一方、下の写真の右側は空にピントを合わせているので空が適正露出になり、結果空の色がしっかり出てきます。

つまり、このカメラは「ピントを合わせた場所が適正露出になる」という仕組みで動いています。なので上の写真で空の色を出したいと思ったら一度空の側でフォーカスロックをして、そこで露出を決めてから構図を作るという工程が必要になります。そうすれば空の色を濃くすることができるという仕組みになります。(その代わり写真の下側は少しだけ暗くなります)

実際この仕様は2000年代の小さいデジカメ(IXYなど)でも残っています。ですので古いカメラを使う以上ある程度仕方ない問題なのですが、慣れると当たり前にできるようになります。文章で読むとややこしく感じると思いますが、臆せずバンバン撮っていけばすぐに理解できるのであまり気にしないでください。

「空が白っぽく写るときがあるんですよね」って相談されたことが過去に10回以上あるので、もし理由がわからない方がいたらと思って念の為書いておきました。カメラの故障ではないのでご安心くださいね。

電池が少々めずらしい

電池はリチウム電池2CR5 6Vというものです。
ボタン電池やいわゆる乾電池のような規格ではないのでご注意ください。フィルムカメラを購入する時には電池の入手しやすさを絶対に調べてから買うようにしてください。多分コンビニではなかなか買えないタイプだと思います。

購入時の注意

シャボン玉が飛んでます。

冒頭にも書きましたが、発売は1988年です。昭和の終わりです。
完動品を選んでください。ジャンクの表記があるものは基本的に避ける方が無難です。たまに普通に動くケースもあるんですが、極力避けましょう。

カメラのキタムラでは中古状態がしっかり記載されています。信頼できる場所で購入することが大切です。また、このカメラに限らないのですが、中古のカメラを買った時には可能な限り迅速にテスト撮影をしてください。僕はデジタルであっても即日します。フィルムもとりあえず撮り切って現像に出します。買ってから数ヶ月使わない、みたいなことになると保証が切れたり、最初から壊れていたのか自分が壊してしまったのかの判断もつかなくなりますので注意してください。

総合的に楽しいカメラ

小さくて持ち運びが容易な上レンズが選択できて、フィルムの使い方まで選ぶことができます。また日付を入れることもできます。日常的に持ち歩いて気になったものをどんどん撮っていきたくなるカメラです。

冒頭で僕の生まれ年のカメラであると話しましたが、皆さんもぜひ自分の生まれ年のカメラを調べてみてください。そうやって遊び心を交えたり、なにかのきっかけで手に取ったカメラってなんだかんだで愛着が湧いて楽しく大切に使えたりするものだと思います。
日本の技術力のおかげで40年近く前のものでもしっかり動くものはいっぱいあります。ぜひフィルムカメラで遊んでみてください。ではまた。

 

 

■写真家:杉本優也
東京都生まれ東京都在住。妻を撮影し続けている活動がテレビメディアに特集されたことを機に、フォトグラファーとしてのキャリアをスタートさせる。ライブ撮影やメーカーへの作例提供、機材レビューなどの活動をしている。

 

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